子供の頃に読んで衝撃を受けた本があります。
それが『おとうさんがいっぱい』です。
昔から不思議な話や、怖がりなのに怖い話が大好き(世にも奇妙な物語系がすごく好き)なのですが、この『おとうさんがいっぱい』は
読みやすい短編集
子供向けの本なので字が大きくて読みやすい、難しい言い回しがない
話に合う不思議な挿絵
続きが気になってスラスラ読み進められる
そんな本です。
子供の頃捨ててしまい、ずっと心にその本が心に残っていたのか高校生頃に買い直したくなって探したのに中々見つけられず…
大人になってやっとネットで発見し再び手に入れた、自分の中では手放せない一冊です。
ざっくりあらすじをご紹介します
タイトルとあらすじ
ゆめであいましょう
主人公のミキオは夢の中である赤ちゃんに出会う。
その後夢を見るたびにミキオはその赤ちゃんに出会うが、赤ちゃんはどんどん成長していって…
どこへもゆけない道
「いつもの帰り道を少しだけ変えてみようかな」ちょっとした気分転換が原因で主人公はとんでもない事に…
ぼくは五階で
小学生のナオキは1人で五階の自宅へ帰る。
おやつを食べて友達と遊ぶ為家を出ようとすると…家から出られない!
なんとかして家からの脱出を試みるが・・・
おとうさんがいっぱい
ある日全国のあちらこちらで増えた『おとうさん』。突然増えた家族に困惑する人々。
主人公のトシオの家でもお父さんが増えてしまった!
増えてしまった全国のお父さんはどうなるのか!?
かべは知っていた
いつもの夫婦喧嘩だったはずなのにお父さんがとんでもないことを言い出した。
「そんなに出ていって欲しいなら壁の中に入ってやる!」
本当に壁に入ってしまったお父さん。見ていたのは子供のカズミだけ。
お父さんはこれからどうなるのか…
感想
ネタバレしてしまうとドキドキ感がなくなってしまうのであらすじは簡単にさせていただきました。
1つのお話が短いのでガッツリ解説してしまうともはやネタバレになりかねないので簡単すぎる紹介になってしまいました。(単にあらすじ作るのが下手なだけ)
どれも『普段のあるある』のはずなのに突然の絶望に落とされる話です。
いつも見ている夢、何気なく歩く帰り道、普段暮らしている自宅からいつも通りの家族まで、絶対に起こるはずがないのにもしも自分の身にそんなことが起こったら…と考えさせられてしまう理不尽で不条理な世界。
私は『ぼくは五階で』と『かべは知っていた』が特にお気に入りです。
年齢を重ねた今読むと子供の頃とは全く違う読後感で、『かべは知っていた』は昔は主人公の父を思って泣いてしまったのに、今読むと夫婦への苛立ちを感じます。
つまらない夫婦喧嘩や意地の張り合いはつまらない結果にしかならないものですね(‘_’)遠くを見る
巻き込まれた子どもが一番かわいそうです。
そして読者が思う「あぁしてみたら?」「じゃぁこれはどうだ!」を主人公ががんばって試してるのになかなか見えない出口。
作者の三田村信行さんは『おとうさんがいっぱい』のような少し怖い童話を他にも執筆されているそうですよ。
同じく作者の佐々木マキさんもすこし変わったテイストの絵本を多数出されているそうです。
もし興味をもたれたら検索してみてください。
今回ご紹介した本はストーリーの時間に合わせて夕暮れ時に読むとまた雰囲気が出ておすすめです!