寒い冬が終わりあたりの景色に緑が増え、上着も必要なくなってくると
近所の田んぼではトラクターが今年のお米作りの準備をはじめます。
家の中にも外にも虫を見る機会が増えてきて、虫網と虫かごを持った少年も現れます。
我が子です。
「水路でガサガサしてくるー!」と家に隣接している水路で網を行ったり来たりさせてつかまえてくるのは大体ドジョウだったのですが、ごくまれにつかまえてくるやっかいな子がいました。
その名もザリガニ。
息子は時にはまだ赤ちゃんの状態、時には推定10cmほどの大人ザリガニを満面の笑みでかごに入れて
「この子飼う!」
と家に連れてくるのです。
日本で暮らすザリガニの種類
現在日本に生息しているザリガニは以下の3種類と言われています。
ニホンザリガニ
昔から日本に生息しているいわゆる在来種。
体長は約5cmほどで、北海道・青森県・岩手県・秋田県の河川などに生息している。
2023年より個体数の激減に伴って「特定第二種国内希少野生動植物種」に指定された。
※「特定第二種国内希少野生動植物種」とは絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称、種の保存法)に基づく国内希少野生動植物種における規制行為のうち、販売または頒布等を目的とした行為に限定して規制される制度です。
特定第二種国内希少野生動植物種の保全ー環境省 より
わかりやすくいうと絶滅の危機があるので売買目的の捕獲は禁止ということのようです。
(研究目的や趣味での採集は規制の対象外とされています。)
ウチダザリガニ
1930年ごろアメリカから食用として北海道摩周湖に導入され、以後北海道から持ち出され生息地域が拡大し、現在は北海道・東北・滋賀・長野・千葉などで確認されている。
体長は約15cmほどにもなるらしい。
2006年2月から特定外来生物に指定され規制が開始。
アメリカザリガニ
1930年ごろ食用として持ち込んだウシガエルの養殖用の餌として日本に持ち込まれた外来種。
体長は約15cmほどになるが、20cmほどに成長したものも発見されたことがあるらしい。
生息地域は北は北海道(温水が入り込むような場所)から南は沖縄まで全国の水田・用水路・ため池などの水辺。
2023年6月1日から「条件付き特定外来生物」として規制が開始。
特定外来生物に指定とは?
ウチダザリガニやアメリカザリガニの「特定外来生物」とは簡単に説明すると
海外から来た生物で、日本に昔からいる生き物(在来種)たちや、人間の生命・身体、また農林水産業へ被害を及ぼす可能性のあるものを指します。
もっと詳しくすると【元々いるはずのない地域に人が連れてきたりして住み着いちゃった生き物】(ここまでは「外来種」と呼びます。)で、【農作物を食い荒らしたり、、人に害を与えたり、在来生物を捕食するなどして本来の生態系を壊す恐れがある】ものの中から外来生物法に基づき指定されたものを「特定外来生物」と言います。
※渡り鳥や、風や海流に乗って移動してきた種子など人が関わっていない場合は「外来種」とは呼ばないそうです。
「特定外来生物」として指定されると、その生物は輸入・放出・飼育・譲り渡し等の移動が禁止されます。
つまり買ったり売ったりしてはいけない、生きたまま移動させてはいけない、逃がしたり捨ててはいけない、そもそも飼ってはいけない。違反した場合は懲役や罰金という厳しい決まりがあります。
※学術研究等の場合は許可を得て特別に飼育することも可能なようです。
「てことはうっかり捕まえてしまったらどうすんの?!」と水路ガサガサ好きの方はお困りだと思います。
調べたところ、「捕まえた時に捕まえた場所でのリリースは大丈夫」との情報がありました。
※一度飼育するために持ち帰ってしまったら捕まえた場所でもリリースしてはいけないそうです。その場の判断が問われる・・・
詳しくはこちら↓
農林水産省 特定外来生物 pdf
現在アメリカザリガニについては「条件付き特定外来生物」となっているので飼育は禁止されていません。
ただ、飼育する場合は最期まで責任を持ってお世話をしなくてはいけません。
つかまえてきたザリガニの正体
西日本在住の息子がたまに捕獲してくるそれは間違いなくアメリカザリガニです。
2023年より「条件付き特定外来生物」として指定されたアイツに間違いない。
となると【捕獲した場所ですぐ逃がす】という選択肢もあったのですが、捕獲当時の私には【特定外来生物に指定されている生き物を捕まえてしまったら、いかなる場合もその場で絶命させるか責任を取って最期まで飼育しなければならない】と勘違いして理解していたので連れて帰って飼うことにしたのでした。
※前述していますが、これが「特定外来生物」と指定されているウチダザリガニだったら生きた状態で移動させている時点でアウトです。
罰金や懲役になる可能性があります。
飼育方法について試行錯誤してみる
息子がザリ(名前が長いので略称にて失礼します)を捕まえてくるたびに検索するのが『ザリガニ 飼育 方法』などのワードでした。
そのたびに出てくるのは
「アメリカザリガニの飼育は簡単」
「アメリカザリガニは丈夫で汚い環境でも生きるので世話いらず」
「ポンプも水草もいらないよ!」
という水と入れ物があれば何でも食べるしほっといてヨシ。みたいな文言ばかり。
実際に
百均で購入した大き目のカブトムシ飼育用プラスチック容器(¥550のVIP価格)
ザリがひたひたに浸かるくらいの水(カルキ抜き)
隠れ家となる小さ目の石
底に砂利
沈殿性のえさ(現在ドジョウにあげているのと同じの)
を用意して捕獲したザリを投入・・・
結果、過去に赤ちゃんザリの時も、大人ザリの時も一週間と経たず星になりました。
一週間とはいえ我が家の仲間になった存在です。
名前も付けてはいないけど、思い入れもたいしてないけど、死んでしまうというのは毎回結構精神的にしんどいものがあります。
一体何故だ・・・
同じ思いは避けたいので、さらに本からネットから調べてみると
ザリは意外ときれい好きなのか、ろ過機の無い場合水を一週間に一度は変えた方がいい(2~3日に一度との情報もあり)
エアレーションや水草などの水に空気を発生させるものを入れた方がいい
などなど最初に調べた物とは正反対の意見も発見しました。
つまりこれはアレではなかろうか、人と同じやつでは。
気温差に強い人やちょっとくらい不衛生でも病気1つしない人や、ちょっと体力に自信のない人などなどの個性があるのではないだろうか。
いや、だとすると今まですべての赤ザリから大人ザリまで天に還ったのはおかしいか・・・
息子がザリを捕獲してくるたびに以前と環境を変えたりして工夫を続けました。
アメリカザリガニの飼育方法
自分なりに試行錯誤して考え付いた答えは以下になります。
・ザリガニ1匹につき幅30cm以上の水槽(入れ物)で飼育する。
(基本ザリガニは一匹狼で飼育します。魚などの生き物と混泳すると捕食してしまったり、2匹以上で飼育すると共食いしてしまったりするそうです)
・できればエアレーションを用意する。
(百均で購入した【空気ブクブクくん】的な名前の水中に空気を発生させる石みたいなのを使ってみたのですが、酸素量が足りなかったのか残念な結果になりました。ごめんよザリガニ・・・)
・エサは雑食なのでなんでも食べると言われているけれど【ザリガニの餌】として売られているものを与えるのが無難。
・他の水性生物と同じくカルキの含まれている水道水はザリガニによくないのでカルキ抜き剤を使用するか、水道水を日光に当てて貯めておくなどしてカルキを抜いた水(こうすると1日ほどでカルキが抜けます)を使用する。
・水量はエアーポンプなどを使用する場合は水槽の8割程度の深さでもOK、ポンプを使用しない場合はザリガニがエラ呼吸できるように5~6cm程度の深さにする。(私的にこれは料理でいうところの「かぶるくらい」と思っています。ザリの体が浸りきるくらい?)
・底砂は粒が細かめの物がいいらしい(ザリガニが歩きやすくなるので)が、ザリガニは餌を細かく食べこぼすらしいので、ろ過器がない場合は水質が悪化しないように一週間に一度くらい掃除してあげるといい。
(底砂の大きさは人によって意見がさまざまで、細かすぎるとゴミが溜まりやすいから大きい粒の方がいいとか大磯くらいの粒がいいとか・・・なんなら底砂はなくてもいいなんて意見も。)
・ザリガニは穴を掘って隠れて暮らしているそうな。なので流木や水槽用土管などで隠れ家を用意してあげると落ち着くかも。
・これは必須。フタ。ザリガニは脱走名人なので水槽などの容器には脱走防止の蓋を必ず付ける。
(フタなしで室内飼育していた人がある夜トイレに起きたら玄関にザリガニがいたという話もみつけました。)
※「条件付き特定外来生物」であるアメリカザリガニは逃がしてもいけません。
我が家では屋外飼育
理想は水質管理も比較的しやすい室内飼育をしたいのですが、すでに家にはドジョウたちがいるのでザリを置くスペースが確保できません。
なので我が家では庭のビオトープの隣にザリの家を作ることにしました。
ビオトープについてはこちら↓
↑威嚇するザリ。両手を広げて「やんのかコラ」スタイルのこれがなんだかかわいい。でも本人はあくまで必死。
・ビオトープと同じトロ船
・カルキを抜いた水
・庭で拾った大きい石と岩
・いつのかわからないメダカ飼育時使用していた砂利
・故障していたと思われていたソーラーポンプ
(しまい込んでいたのをひっ張り出して思いっきり振ってみたらなおった)
・ザリガニのえさ
・百均の小さい植木鉢
・園芸用ネット(フタとして使います)
ここまでで新たに購入したものは「ザリガニのえさ」「フタにするネット」「小さい植木鉢(4個入)」です。(ホームセンターにて購入)
たぶん合計で¥500円くらいでしょうか。どうだっけ
とにかく費用はかけたくないのでこれで我慢してくれよ・・・とザリを投入したところ
「ザリガニまたとれたー!」
息子がザリ2号を捕獲。
基本アメリカザリガニは一匹狼・・・同じ水槽に入れてしまうと共食いの恐れが・・・
あらたにトロ船を用意するか・・・などなど悩む私。
結果、トロ船を岩で分割することにしました。
真ん中に岩。
登って喧嘩しないことを願いつつ、そっとフタをします。
↑開け閉めしない時は真ん中と手前部分にも石を載せます。
そしてひと月が経った
5月に捕獲してきたザリ達はなんやかんやでひと月ほど元気に暮らしています。
今まで仲間たちを犠牲にしてしまった上での試行錯誤でしたが、この子たちは天寿を全うしてほしいなと思います。
自然の中にはたくさんの小さな命が日々を懸命に過ごしています。
捕まえて飼育するのも勉強の一つとは思えど、そこにあるのは命です。
お世話をするなら快適な環境を整えて、無理だと思ったらその場でリリース。
次にザリが捕らえられてしまった時はその場でそっとさよならしようと思います。マジもうムリ
あ、ウチダザリガニとかアメリカザリガニって結構おいしいらしいですよ!食べたことないけど。
その場でシメて食べるのもアリかもしれませんね。私は食べないけど。
※調理の際は必ず正しい調理方法を調べてください。川の生物には寄生虫もたくさんいます。
とまぁ後半は若干心の声が漏れてしまいましたが、なんやかんや自然っていいよなと思う次第です。
そしてまた息子は何かを捕まえてきました。
Google先生に画像で教えてもらったところ【カワムツ】の稚魚ではなかろうかとのこと。
さて、飼育方法を検索開始です。
たのむ、息子よ・・・世話をしてくれ!!