壊れた男が壊す【映画の紹介『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』】

映画
※当ブログはアフィリエイト広告を掲載しています。
※当ブログはアフィリエイト広告を掲載しています。

大切な人とか物って日常でそばにあると思うとなんでもないのに、それが壊れたりなくなると「もっと大切にしておけばよかったな」と思ったりしませんか?

毎日そばにあるものと「なんとなく」過ごしていると、後で失った日々を見つめなおすことも難しくなるかもしれません。

今回はそんな「なんとなく」な日常が失われた物語『雨の日は会えない、晴れの日は君を想う』についてご紹介します。

Amazonプライムビデオはこちら

作品紹介

監督 ジャン=マルク・ヴァレ

脚本 ブライアン・サイプ

2017年日本公開

製作 アメリカ

上映時間 101分

PG12指定(小学生の観覧には親または保護者の助言・指導が必要)

※未成年の喫煙、流血少々、暴力・性的表現が含まれています。

登場人物

デイヴィス・・・主人公。妻の父が経営する投資会社に勤める。

ジュリア・・・デイヴィスの妻。特別支援学校の教師をしている。

フィル・・・ジュリアの父でデイヴィスの養父。

カレン・・・自動販売機の苦情係をしている。

クリス・・・カレンの息子。15歳。

あらすじ

妻の父が経営する投資銀行に勤め、特に不自由なく過ごしていたデイヴィス。

いつものように妻の運転で移動中自動車事故にあって妻は命を落としてしまう。

妻が死んだのに涙も出ないし何も感じない・・・自分が失ってしまったものは何なのか。

自分の周りの物を壊し、自動販売機の苦情係のカレン親子と交流しながら彼は自分自身を見つめなおす。

見どころ

とにかく主人公デイヴィスの空虚な目がすごい!

ほんとうに何も感じてないし何も見てない感じがします。心空っぽってやつ。

そんなデイヴィスがあるシーンで感情を丸出しにするんですけど、ここがまたいい!

そんなデイヴィスがカレンやクリスと少しずつ友情を築いていく過程とか、登場人物の心の動きがわかるようなわからないような感じで表現されていて、明確に表されていないところとかもうとにかく見どころ満載です。

この映画、好き嫌い別れる作品だと思いますが、ハマるとしばらく頭の中『雨の日は会えない、晴れの日は君を想う』で埋まりますよ。

ネタバレ含む感想

ここからはネタバレ含む感想となりますので「ネタバレは避けたいよ」というかたはスルーしてください。

↓   ↓   ↓

難しい映画でした!

ほんとこれは『大人の映画』ってやつです。(R指定とかそういった意味じゃないよ)

簡単に言っちゃえば「妻を失った夫が壊れて、周りの物をとにかく壊したら自分の気持ちに気づいた話」という感じなのですが、全くそれだけではないんです。
とにかく誰も説明してくれないから答えっていう答えはないし間とか雰囲気で観ているこちらが心情を察する、いわゆる「考えるな感じろ」的なストーリーでした。

なので観る人によってかなり受け止め方に違いが出るんじゃないでしょうか。

きっかけは養父の「分解して物事の本質を見極めて組み立てなおせ」的な一言をふと思い出したことに始まるのですが、まぁ主人公のデイヴィスが壊す壊す。

壊れた冷蔵庫の分解から始まり、家まで壊す。

でも一番壊れてたのは自分の心だったってね。
それに本人が気づけていないで「妻が死んだのに泣けないし何も感じないんだ」とか「好きじゃなかったのかも」とか言ってるから観ていて辛くなります。

そもそも病院でチョコを買おうと思ったのに出てこなかった。苦情の手紙を書こう。となるのですが、普段のデイヴィスなら絶対に手紙なんか書かないと思います。
あ、壊れてるのか。じゃあいいや。ってなりそう。
なのに執拗になれそめや自分語りを手紙に書いたのは、たぶん自分の気持ちを整理するためと妻との思い出を誰か自分の知らない他人に聞いて欲しかったんじゃないでしょうか。

映画の要所要所で思い出される妻との記憶。
もうさ、めっちゃ好きじゃん。
悲しいんじゃんって。
でも自分の気持ちに蓋がされているから自分自身が気づいてないっていう・・・

最後に自分の気持ちに気づいてやっと本気で泣くシーンはつられて泣けますよ。

私は途中で出てくるサルの毛づくろいは「自分ではない他人とケアしあう関係」を表現しているのかなーと思いました。
結局誰かがいて自分がいるみたいな。
でもデイヴィスは周りの人に心配されたりケアされていたのに(生前の妻にも)自分からは何もケアしてないんです。たぶん周りの人が自分を想ってくれていることに気づいていないし、関心がなかったんですね。

周りのすべてに興味がなかったデイヴィスが妻を失って、壊すことで自分を見つめなおしたり周りに興味を持ち始めたり、自分の気持ちを表に出し始めて最後は解放されるんですけど、終わりは最高にさわやかな雰囲気です。

これってたぶん妻と夫が対比的な存在として描かれていますよね?
特別支援学級の先生(相手の気持ちとか大切にする人との関りを大切にする仕事)と投資銀行(数字を相手にする無機質な仕事)、911の映像で泣いちゃう妻と2年前のクリスマスに何をもらったかも覚えていない周りに興味関心がない夫で真逆な2人だったってことですよね。

問題は後半に明かされる妻の最大の秘密。これがね、妻の気持ちもわかるけどさ、一緒にいる夫が自分に興味なさそうだなーとか思ったらそりゃそうなるよなってさ。
まぁーにしてもしんどいです。

デイヴィスも「他人に妻を大切にしてもらえたら」とか思ってるあたりびっくりですよ。
この人、生い立ちに何かいろいろあったんだろうか?
かけっこに勝てなかったとかそんなことよりもっと殻に閉じこもるような何かあったでしょ?
と心配になります。

そしてタイトルの『雨の日は会えない。晴れた日は君を想う』の意味。

これは全く意味がわからなくて解説サイトを探してしまいました。
ジュリア、表現がおしゃれすぎてわからなかったよ・・・
つまりは「雨の日はサンシェードを下ろさないから気づかないけど、晴れてまぶしい時はサンシェードを下ろすからこのメモ帳に気が付くでしょう?その時くらいは私を想って」という意味合いらしいです。
なんだこれ、こんなんラブレターじゃん。
こんなん死んでから見つけちゃったら泣くじゃん。


改めてこの意味を知ってからメモを見つけるシーンを観ましたが・・・
号泣でした。デイヴィスと一緒に号泣です。
一回目観た時はつられて泣いたくらいだったけど、意味をちゃんと知ってから観るともう・・・


何気ない日常で運転していて、まぶしくてサンシェードを下ろしたらメモに気づいてフフッてなるかなって思ってそのメモをジュリアが残したのかと思うと切なすぎました。

と、主人公デイヴィスについてばかり焦点にしてきましたが、彼を変えるきっかけの一つとなったカレン&クリス親子についても少し。

クリスはもちろんだけど、カレンも精神的にアレですね。
ちょっとお薬に逃げなきゃいけないくらいには何か背負ってますね。
そこを深堀する内容は特になく、息子のクリスとうまくいっていないとか夫もいない程度の話と雰囲気が出てくるのですが、カレンこそ分解してなおした方がいい部分も多いんじゃないかと思いました。

最後はカールとの関係を壊してクリスとの関係を再構築~という感じで希望の兆しが見えて終わりましたが、もう少しカレンとクリスの話を見たかったなー。

アレじゃただの大麻大好き男大好きな人に見えちゃうよ・・・実際息子は最初そういう目で見ているようなこと言ってたし。
カレンサイドの話があったら印象ががらりと変わるのかもだけどカレンについてはちょっと好きになれなかったなー

クリスはもうとにかく美形ですね!
第一印象はそこでした。美しすぎてビックリです。(最近は容姿についてあれやこれや言わない方がいい風潮ありますけどきれいなもんはきれいなんだもの)


デイヴィスに少しづつ心を開いていって、中盤に自分の悩みを打ち明けるのですがやっぱり打ち明ける相手が母じゃないってのが親子の溝を感じさせます。
結局最後までカレンはクリスの悩みを知らなかったんじゃないでしょうか?

病院に搬送されてからカレンはクリスに謝っていたけど本人まだ気が付いてない時だったし、親子の関係がどれくらい良くなったのかが気になりました。

クリスは反抗期も相まってかなり荒れてはいるけど、きっと素直ないい子だと思うから幸せになってほしいものです。

そのクリス、デイヴィスを撃つときは防弾チョッキじゃないところをやらかすかとハラハラみていたので、初めて撃つわりにちゃんとチョッキ部分を撃った時に「上手すぎだろ」とツッコみを入れてしまいましたが、何も感じなかったデイヴィスが「痛い」と喜んでいるのはクレイジーながらちょっと感動しました。
良い子は絶対に真似しちゃダメなやつです。
困った大人が真似しそうですが、それもダメ絶対。

ツッコみと言ったらこの映画の肝でもある例のメモ帳を見つけたシーンですが、あの車運転手が死亡するくらいには思いっきり事故ってるんですよね?
てことは廃車か相当な修理が入っているかと思うのですが、メモ帳無事なの?というか修理した人も誰も気づかないもんなの?とちょっと思ってしまいましたが野暮ってもんですね。

そしてファッ○言い過ぎです。
このファッ○の使い方の話からクリスとデイヴィスに友情が芽生えた感もあり、ファッ○は超重要ワードなのでカットできない時点で地上波での放送は不可能確定なのですが(そもそも未成年が喫煙しまくりのお母さんが大麻さんなのでアウト)、うん、たしかに汚い言葉だから使わないのではなく正しく使えばいい言葉なのかもしれないですね。

お年頃の子どもたちはやたらと汚い言葉や日常では言ってはいけない言葉を多用しては「悪いこと言っちゃってる自分ってかっこいいだろ?」と思い込みます。
悪いことをしてしまうのもそんな感じなのかなと思います。
大体それらは大人になって黒歴史と呼ばれるものに変化してしまうものなのですが、デイヴィスがクリスに対して冷めた対応を取ったことで少し大人の階段を昇らせてあげたんでしょう。
きっとクリスはこれからは正しくファッ○を使えるようになると思います。

カレン&クリスについて少しになりませんでした。

この映画、いろんな目線でいろんな感想を持てるので語りだしたら止まらなくなりそうです。

私これAmazonプライムで観たんですけど、プライムだとエンドロールが最初の方で終わっちゃってて最後まで流れなかったんですよね。

エンドロール最後まで観るとデイヴィスの最後のメッセージが見られるそうですよ。

興味のある方は是非観てみてください。

レンタルDVDはTUTAYAディスカスが便利です↓

【TSUTAYA DISCAS】

まとめ

単純そうで深すぎる、本当に難解な映画でした。

私の感想は映画通の方からしたら薄っぺらいかもしれませんが、しょうがない!

これは一度のみならず何回か鑑賞することで新しい発見をしたり新しい感想を持てる映画だと思いました。

残念ながらコンプライアンス的にアウトな表現が多々含まれている為テレビでは放映されそうにありませんので、是非配信又はDVDレンタルか購入していただいて観ていただけたらと思います。

自分の気持ちを大切に、そして自分に関わる人たちにもう少し多くの興味と感心と愛情を持ってみてください。

行き詰ったらちょっと壊してなおしてみることもいいのかもしれません。

でも他人に迷惑はかけないでくださいね。

最後にこの作品、原題は『Demolition』(破壊)だそうです。邦題には賛否両論ありますが『破壊』だとまんますぎるから私は邦題の方がおしゃれでいいなーと思いました。

あなたはどう思いますか?

ではまた!

まずは無料体験!Amazonプライムビデオはこちら
プロフィール
この記事を書いた人
あびう

男児二人育児中のアラフォー主婦
寝ること、食べることが大好き
面倒くさがり、のんびり屋ながら何かに挑戦しようとブログを開始

あびうをフォローする
映画
あびうをフォローする
タイトルとURLをコピーしました