1960年代、未成年にして「天才詐欺師」と呼ばれた青年がいました。
その名も『フランク・W・アバグネイル』。
世界が彼にだまされ、振り回された、フィクションのような実話をモデルにした映画『キャッチミーイフユーキャン』をご紹介します。
作品紹介
監督 スティーブン・スピルバーグ
脚本 ジェフ・ナサンソン
2003年日本公開
製作国 アメリカ
上映時間 141分
ジャンル ドラマ
視聴年齢 16+
※作中に性的表現があります。
この作品は主人公フランク・W・アバグネイル・Jrが1980年に出版した自著『世界をだました男』を元に製作されました。
そしてオープニングのアニメがオシャレです!
登場人物
フランク・W・アバグネイル・Jr・・・主人公。名前は父親と同じ。父を尊敬している。
フランク・アバグネイル・・・主人公の父親。元軍人。
ポーラ・・・主人公の母親。フランスの小さな村出身。
カール・ハンラティ・・・FBIの小切手詐欺専門捜査官。
あらすじ
1960年代。仲のいい両親と幸せな生活を送っていたフランク。しかし父親の仕事がうまくいかなくなり貧しい生活となり、ある日両親は離婚。それを認めたくないフランクは家を飛び出し自分の力で家族を元の形に戻そうと詐欺を働きながらお金を稼ごうとする。
社会的に信用される職業を騙り次々に偽物の小切手を使うフランクをFBI捜査官のカールが追い詰めていく。
実話をもとにしたある天才詐欺師の逃亡劇。
ちょっと小話
FBI捜査官のカールは実在しないらしいです。残念
しかし、フランクを更生するお手伝いをした人物は実際に複数いたそうで、カールはそんな人物をモデルにしているそうですよ。
映画最初に登場するクイズ番組は実際に1970年代にアメリカで放送されていた『本物は誰でしょう?』らしいです。
フランクは実際この番組に出演したので映画でもそのワンシーンを冒頭にしているとか。
そしてこの映画、本物のフランクも登場しているそうです。(Wikipediaより)
作品後半のフランス人警察の1人が彼らしいのですが・・・私はあらかじめ顔写真を確認しておいてもわかりませんでした。ちょっと意識してみてみてはいかがでしょうか?
ネタバレ含む感想
ここからはネタバレを含む感想となります。未視聴の方やネタバレを避けたい方はスルーしてください、
↓ ↓ ↓
この映画、一言で言うなら「うまくいきすぎじゃない!?」って感想を持つと思います。
私は思いました。
だって、あんなんでスイスイいろんな職業に潜り込めるもんなの!?
医者ってあんなんで勤まるの?
パイロットもそんな簡単に潜り込めるの??
とまぁ「えぇーうっそだぁ~」と突っ込みたくもなるのですが、そこは1960年代。セキュリティだのなんだのがスッカスカだったんでしょうか。
疑ったところで実話をもとにした映画だというから、フランクがただただ天才過ぎる。
(結構盛ってるところもあるとは思うけど)
いうなればパイロット→医者になる前のパーティーシーンが「ん?なんでいきなりパーティー?」となってしまったのでそこはもう少し説明が欲しかったです。
ただ、映画で語られている彼がなんだか可愛そうでした。
父は落ちぶれてしまい家も大切なものもどんどん失っていく中でも明るく振舞っていたのに、結局両親は離婚。
いつか家族が元の形に戻ることを信じて頑張ったのに(詐欺という形ではあるけれど)母は浮気の末再婚って・・・
「家族の再建」という彼にとって一番の希望が断たれた時のシーンは胸が痛くなりました。
この映画はただの詐欺師と警察の追いかけっこがテーマではなく、「家族の幸せを求めた少年の物語」なんではないかと思います。
唯一の婚約者にも結局警察に情報を売られてしまって、空港のシーンも悲しかったです。
本当のことを話せる心を許せる人がそばにいない孤独って辛いですよ。
いろんな職業になりきって大人っぽくしていても、まだまだ本当の大人に守られていたいお年頃にあんな辛い思いをしていたらそりゃどうすればいいかわからなくなるってもんです。
クリスマスにも警察に電話しちゃうわ。
数少ない自分の本当の姿を知っていて、ちゃんと話相手になってくれる大人だもんね。
もしかしたら早く捕まえてほしかったっていうのもあるかもしれない。
もう家族も取り戻せない、目的もないのに嘘を重ねていくのはしんどいですよ。
パパがあのレストランでもう少しプライドを捨ててフランクに寄り添ってあげてたら犯罪を繰り返すことはなかったのかなーとも思いますが、パパ自身が人を欺く息子を誇りに思ってる感あるから無理か。
大好きな父親に突き放されちゃ泣いちゃうよ。
でも父も「子どもは売らん」ってフランクを守っていたから愛情表現が不器用なだけなんだろうと思いました。
というか本当にフランクはブレンダが好きで婚約したのかなぁ?
お父さんの職業を知ったのはブレンダに近づいた後のことだったから普通にブレンダ自身を気に入っていたのかなとは思うのですが、家柄を知ったから婚約を決めたんだろうか。
家柄と家族のぬくもり欲しさ誰でもよかったのかもしれないなと思いました。
とにかく家族と呼べる誰かといたかったんだなーって。
だから裏切られたと知った時はそうとう落ち込んだと思います。
嘘はついてもつかれると悲しいってね。(直前にブレンダにだけは真実を伝えてはいるけど)
とどめに父の死と母の娘です。
こりゃ辛すぎる。
もう本当に誰もいない・・・となったときにカールがいたから彼は更生できたんだな~・・・ということで改めて、この映画は『少年の孤独とその孤独を埋めた警察の物語』です。
『逃げる詐欺師と追う警察』のお話だと思われがちですが、何と言おうとこれは一人の青年が救われるヒューマンドラマです。
短期間で司法試験に受かるような頭がキレッキレでも人間だもの。
誰かに認められていたいし、話し相手はほしいし、気を許せる家族が必要なんです。
とくにまだ子どもなら。
あ、本当は8週間で司法試験に合格したそうですよ。
それでも天才だわ。
ラスト近くのシーンはハラハラしましたよ~。
カールの所に、来るのか・・・?来ないのか・・・?お前かー・・・・
みたいな。
あとはもっとカール側のシーンが多いと彼にも感情移入しやすかったのですが、カールも離婚&娘と別居ということで孤独は同じだったんでしょう。
フランスでのシーンは結局嘘じゃなかったので、フランクとは真逆で嘘は付けないタイプってことで合ってるよね?
まとめ
2時間越えの長編映画ですが、テンポよく観られたので苦痛はなかったです。
(カールの同僚と同じく、カールのジョークが理解できずに困りましたが。)
フランクを演じたディカプリオさんの目が本当にきれいで、まっすぐ見つめられながら話されたらまぁ騙されますわ!
ちなみにこの映画のモデルとなったフランク・W・アバグネイルさんの自伝はこちらです。
↓調べたんですけど、今は中古でしか手に入らないようです。残念。
実際にパイロットも医者も詐欺として経験したそうですが、人の命に関わる職業なので飛行機の操縦や人を診察するような医療行為はしなかったそうですよ。
(それでも職業についていられるもんなの?)
実話ベースなので作られた大きなどんでん返しはありませんが、フランクのテクニックに関心し、人間模様が心にギュッとくる作品でした。
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